四ツ谷大家学園 講師 川本 文雄

現在社会的に問題になっているスルガ銀行の不正融資は、融資先顧客に対する資産の水増しが大きな問題になっていますが、それと共に融資先顧客が管理会社との安易なサブリース契約をしたことが悲惨な結果に繋がっていると思われます。賃貸経営においてサブリース契約は、本当に危険なのでしょうか?

そもそもサブリース契約とはどういう契約なのか!
サブリース契約とは管理会社が一括して建物を借り受け、オーナーに代わり建物の維持管理を行う方式です。

そのサブリース契約の内容を詳しく見るためにメリット、デメリットの比較をしたいと思います。
メリット
1. 一括借り上げのため、管理責任を管理会社が請け負うため、オーナーは管理に係るリスク、例えば空室リスクや入居者からのクレーム等から回避できる。
2. 特に空室リスクを管理会社が負担してくれるので、長期の家賃保証による安定した賃料収入が得られる。
3. 賃料収入が安定しているので、金融機関からの融資が受けやすい。
ということが挙げられます。
デメリット
1. 本来オーナーと入居者の間で結ばれる賃貸借契約が、管理会社と入居者の間で結ばれるため、オーナーには入居者情報がほとんど入らない。
2. 管理会社にも借地借家法が適用される。
どういうことか?
借地借家法では契約の条件に関わらず、当事者は賃料の額の増減を請求できることが明記されており、この当事者に管理会社も該当する。
すなわち管理会社はいつでも家賃の引き下げを請求することができる。
3. その他にも通常オーナーが受け取れる敷金、礼金、更新料は管理会社の管理、収入になってしまう等がある。
ということが挙げられます。
以上のようにサブリース契約のメリット、デメリットを見てくると、デメリットのリスクが優先して二の足を踏みたくなるかもしれません。
また今回のスルガ銀行の不正融資も融資先顧客に対して、管理会社がメリットである長期家賃保証を強調して、その裏にあるデメリットを詳細に説明していない可能性があると思います。
その上管理会社の倒産により、多額の負債を抱え自己破産に追い込まれたオーナーが続出したと思われます。
しかしながら本当にサブリース契約は、オーナーにとって賃貸経営にとってハイリスクなのでしょうか?