─ 3つの視点で未来のリスクを見抜く方法

こんにちは。大家さん応援隊スタッフです。
前回は「理想の大家業スタイルを描く」ことをテーマに、大家業の方向性を考える重要性をお伝えしました。

今回は、そのスタイルを現実的に実現するための次のステップとして、物件「ポートフォリオの見直し」についてお話しします。
不動産投資や大家業をしていると、耳にすることが多い「ポートフォリオ」という言葉
これは簡単にいうと、「あなたが持っている物件の組み合わせ(構成)」のことです。

たとえば、

  • 都心の築浅マンション 1室
  • 郊外の築20年アパート 1棟
  • 地方都市の築古戸建 1軒

これら所有されているすべてを合わせた“不動産物件”が、あなたの不動産ポートフォリオです。

そして、このポートフォリオがバランスよく組まれているかどうかで、10年後の安定性が大きく変わります。
今回は、その見直しで必ず押さえておくべき3つの視点を、噛み砕いて解説します。

目次

  • なぜポートフォリオ見直しが必要なのか
  • 見直しの3つの視点とは?
    1. 収益性(今と未来のキャッシュフロー)
    2. 建物・設備の寿命と修繕計画
    3. 市場性(立地・需要・流動性)
  • 見直しの判断例
  • まとめ:3つの視点を年1回チェックするだけで未来は変わる

なぜポートフォリオ見直しが必要なのか

不動産は一度買ったら終わりではなく、持っている間ずっと管理と判断が必要な資産です。
時間が経てば、家賃相場も変わり、修繕も必要になり、立地の魅力も変化します。

例えば、今は高収益な築浅アパートも、10年後には

  • 家賃が下がり始める
  • 設備交換が必要になる
  • 新築競合が出てくる

こうした変化に対応せずに放置すれば、収益は確実に落ちます。
だからこそ、「今持っている不動産物件が、この先も戦えるか?」を定期的に点検する必要があるのです。

見直しの3つの視点とは?

1. 収益性(今と未来のキャッシュフロー)

■ ポイントは「未来の数字まで見える化」

今の家賃やキャッシュフローが良くても、それだけで安心するのは危険です。
なぜなら、10年後の状況は大きく変わる可能性が高いからです。

例えば

  • 家賃は年1〜2%下落すると仮定する
  • 空室率はエリアや築年で変化する
  • 設備交換・修繕の費用は避けられない
  • 固定資産税や保険料も上昇する可能性がある

これらを全部反映した未来の“キャッシュフロー表”を作ることで、将来の黒字・赤字が見えます。

■ 簡易チェック方法

  1. 家賃 × 想定入居率(例:95%)
  2. 年間経費(固定資産税・保険・管理費)を引く
  3. 修繕積立額を加える(将来の大規模修繕を想定)
  4. ローン返済額を引く

これを今の数値と10年後の数値で比較するだけで、将来性があるかどうかが分かります。

2. 建物・設備の寿命と修繕計画

■ 修繕は必ずやってくる

不動産の寿命は建物だけではなく、設備にもあります。
この更新時期が複数物件で重なると、修繕費が一度に数百万円単位になることもあります。

耐用年数の目安:

  • 屋根・外壁:15〜20年
  • 配管:20〜30年
  • エレベーター:20〜25年
  • 給湯器・エアコン:10〜15年

■ ポイントは「計画的な積立」

大規模修繕の時期に慌てないためには、毎月の家賃収入の一部を修繕積立金として分けておくことが大切です。
これをしていないと、修繕費を払えず放置 → 物件価値が落ちる → 家賃下落 → 買い手もつかない、という悪循環に陥ります。

3. 市場性(立地・需要・流動性)

■ 市場性とは?

簡単にいうと、「これからも借りられる・売れる物件かどうか」です。
立地や需要は時間とともに変化します。

例えば

  • 人口減少が進むエリア → 賃貸需要が減少
  • 大学や工場の移転 → 特定需要層が消える
  • 再開発エリア → 将来性が高まる

■ 市場性を確認する方法

  • 自治体の人口統計(国勢調査)
  • 周辺の新築供給量(建築確認情報)
  • 再開発やインフラ計画(都市計画情報)
  • 同じ間取り・築年の競合物件の家賃動向

市場性が低下しそうな物件は、早めの売却や用途転換を検討することが重要です。

見直しの判断例

  • 収益性◎ ・修繕リスク小 ・市場性高 → 長期保有
  • 収益性△ ・修繕リスク大 ・市場性低 → 売却検討
  • 収益性○ ・修繕リスク大だが市場性高 → 修繕して継続保有

このように、3つの視点を総合して判断すると、感覚ではなく数字と根拠で経営判断ができます。

まとめ:3つの視点を年1回チェックするだけで未来は変わる

不動産の失敗は「買ったとき」よりも、「持っている間」に起こります。
だからこそ、ポートフォリオの定期見直しは、長期安定経営の生命線です。

  • 未来の収益性を数字で見る
  • 修繕リスクを予測して積立する
  • 市場性の変化を常にチェックする

この3つを年1回チェックするだけで、将来の赤字化や資産価値低下を大幅に防げます。
物件は持ち続けるだけでは守れません。選び続ける姿勢こそが、未来の安定をつくることができるのです。

🏠 これからもあなたの物件が10年後も価値ある資産であり続けますように。