なぜ1棟だけの所有で危ういのか?「単棟依存リスク」を避けて安定収益を実現する戦略!

不動産投資を始めたばかりの方にとって、「まずは1棟保有して様子を見る」という考えはごく自然な考えです。実際、私のまわりにも「まずは1棟やってみて、それから判断したい」という方がたくさんいらっしゃいます。しかし、実際に1棟目を購入してからしばらく経つと、多くの投資家がこう感じ始めます。

「1棟だけだと、収益が思ったより不安定かも…」
「空室が出るといきなりキャッシュフローが悪化する」
「突然の修繕で収支が一気に赤字になることもある…」

このような声は決して珍しくありません。
むしろ、1棟だけに頼って投資を続けることのリスクの大きさを、肌で実感する人が非常に多いのです。

1棟依存の「3つの大きなリスク」

リスク①:空室の影響が致命的になる

たとえば、8室ある木造アパートを1棟だけ所有していたとしましょう。
仮に2室空室になるだけで、家賃収入は25%減になります。
ローン返済額や固定費は変わらないのに、収入が大きく減ると、毎月のキャッシュフローが一気にマイナスになる可能性もあります。

また、1LDKや2LDKといったファミリー向け物件であれば、そもそも戸数が少なく、1室の空室=大打撃です。

空室期間が長引くほど、オーナー側のダメージは大きくなります。

リスク②:一時的な修繕が収支を圧迫する

エアコンや給湯器、屋根の補修、外壁塗装…
どんな物件でも、年数が経つにつれて必ず修繕費が発生します。

1棟しか保有していないときに、1回50万円〜100万円単位の修繕が必要になると、その年の収支が一気に赤字になることもあります。
他の物件で補えない以上、「1棟の稼ぎのなかで吸収するしかない」というのが現実です。

このように、収入も支出も1棟に集中してしまう構造こそが、単棟依存の最大の弱点といえます。

リスク③:地域要因や市場変動への耐性が弱い

「周辺に新築アパートが急に増えた」
「大学のキャンパスが統廃合された」
「駅周辺の再開発が停滞した」

このようなエリア特有の変化や需給のズレによって、賃貸需要が落ち込むことがあります。
そうなると、空室期間が長引いたり、賃料を下げなければ決まらない状況になることも。

1棟しか持っていないと、こうした「地域リスク」をまともに受けてしまうため、収益のブレが非常に大きくなりやすいのです。

リスク分散の第一歩は「2棟目」から始まる

では、これらのリスクをどうやって和らげていくか?
答えはシンプルで、「物件を分散して持つ」ということです。

仮に、同じようなアパートを2棟持っていたとします。
片方で空室が2室出ても、もう片方が満室なら、全体では十分に黒字になる可能性が高い。
また、1棟で急な修繕費が出ても、もう一棟のキャッシュフローでカバーできる。

つまり、複数棟保有によって「収支のブレ幅」をなだらかにすることができるのです。

分散の考え方は「立地・建物タイプ・築年数」など多方面で考える

リスク分散は、単に「数を増やす」ことだけではありません。

  • 地域を分ける(例:都内と郊外)
  • ターゲット層を分ける(例:単身者向けとファミリー向け)
  • 構造や築年数を分ける(例:築浅RCと築古木造)

このように、「違う性格の物件」を持つことで、市場変化に対する耐性がさらに高まるのです。

たとえば、郊外のファミリー物件は長期入居が見込める一方、都心の単身向け物件は入れ替わりが多い代わりに空室期間が短い。
こうした特性の違いを組み合わせてポートフォリオを構成するのが、安定経営の第一歩です。

まとめ:不動産経営の「安定性」は、棟数と構成でつくるもの

不動産投資は、うまくいけば長期的に安定した収益を得られる非常に魅力的な資産運用です。
しかし、それは「1棟だけで何とかする」構えでは続かないということも、また事実です。

むしろ、いかに早く「単棟依存」を抜け出し、安定した収益構造を作れるかが、長期的な成功の分かれ道になります。

最初の一歩を踏み出した方こそ、次の一歩を慎重かつ戦略的に踏み出すことをおすすめします。
それが、不動産経営の本当の安定性を生み出す近道だからです。