不動産投資でキャッシュフローが悪化する前兆と、立て直し事例3選

こんにちは。」大家さん応援隊スタッフです。
投資をするなら一般的に想像するのが、金融商品(株式、FX他)と不動産投資といわれますが、そんな中で不動産投資は「安定収入」とよく言われます。実際に物件を所有するとわかるのは、収益は常に変動要素と隣り合わせだということです。
「気づいたら赤字になっていた」という声も少なくなく、特にキャッシュフロー(毎月の手残り)の悪化は、大家さん初心者・ベテランを問わず共通の課題です。
しかし、悪化するには必ず前兆があります。
そして、その前兆を正しく読み取り、適切に対策をすれば、経営は立て直しが可能なんです。
今回は、不動産投資の現場でよく見られる”3つの典型的なシナリオ”を、事例形式でご紹介します。
「自分の物件に似ているかもしれない」と思いながら読んでみてくださいね。
事例① 空室が長引きキャッシュフローが赤字に転落
あるオーナーさんが所有していたのは、都内の木造アパート(8室)。
購入当初は立地も良く、1年目は常に満室稼働で、月40万円の家賃収入が安定して入っていました。
ローン返済が30万円、管理費や固定費が5万円。毎月5万円ほどのプラスキャッシュフローがあり、順調なスタートでした。
ところが2年目、立て続けに2室の退去が発生。
「すぐ埋まるだろう」と思っていたところ、入居付けが思うように進まず、3ヶ月経っても決まらない状態が続きました。
結果として、家賃収入は月30万円まで落ち込み、ローン返済30万円+管理費5万円を差し引けば、毎月▲5万円の赤字。
手残りどころか、自己資金を切り崩す状況に追い込まれたのです。
対策
オーナーはここで戦略を転換しました。
- 家賃を5000円下げる代わりに「インターネット無料設備」を導入
- 仲介会社への広告料(AD)を1ヶ月から2ヶ月へ増額
- 部屋の内装をリフォームし、明るい色合いで若年層ターゲットに変更
その後の展開
結果、2ヶ月後には2室とも入居が決まり、満室に回復。
家賃はやや下がったものの、月収38万円を確保でき、キャッシュフローも+3万円に戻りました。
何よりも、オーナー自身が「空室が長引く前兆を見逃さず、早めに手を打つ」経験を得たことが大きな財産となりました。
事例② 修繕費の集中でキャッシュフローが崩れる
次のケースは、築25年のRCマンションを所有していたオーナーです。
12室の物件で、月の家賃収入は60万円。ローン返済40万円、管理費や固定費10万円を引いて、手残りは月10万円程度。
一見安定しているように思えましたが、落とし穴は「修繕リスク」でした。
ある年、給湯器が次々と故障し、わずか数ヶ月の間に4台同時交換が必要に。
その費用は合計60万円。
キャッシュフロー10万円では到底賄えず、手持ち資金を取り崩すしかありませんでした。
「修繕積立をしていなかったこと」が響いた典型的な事例です。
対策
この経験からオーナーは即座に対策を講じました。
- 家賃収入の10%(月6万円)を修繕積立口座へ毎月積み立て
- 修繕の優先順位を整理し、「入居継続に直結する修繕」から対応
- 将来の外壁工事に備え、金融機関に修繕ローンの相談を開始
その後の展開
1年後には修繕積立残高70万円を確保し、翌年予定されていた屋上防水工事(80万円)を無理なく実施。
さらに「修繕計画を立てているオーナー」として金融機関からの評価も高まり、追加融資を受けて新たな物件を購入することに成功しました。
「突発的修繕に振り回される経営」から「計画的に資金を準備できる経営」へ。
その変化は、キャッシュフローの安定だけでなく、投資家としての信頼を獲得することにもつながったのです。
事例③ 税負担でキャッシュフローが消える
最後の事例は、拡大フェーズに入ったオーナーのケースです。
個人名義でアパート3棟(合計30室)を所有し、年間家賃収入は約3000万円。
経費やローン返済を引いた後の所得は1500万円でした。
順調に見えましたが、問題は「税金」です。
課税所得が増えた結果、所得税と住民税で年間600万円以上を納めることになり、キャッシュフローがほとんど残らない状況に陥りました。
「物件数は増えているのに、手元には資金が残らない」という典型的な“税負担リスク”です。
対策
オーナーは税理士と相談し、法人化を決断しました。
- 新たに法人を設立し、物件を法人に移転
- 役員報酬を家族に分散支給し、所得税を軽減
- 法人税率23%前後でコントロールしつつ、将来的な退職金制度も導入
その後の展開
法人化により、年間税負担は600万円から350万円に圧縮。
浮いた資金を4棟目の頭金に充当できたことで、さらに規模を拡大することができました。
また、法人決算書を持つことで金融機関からの信用度が向上し、より大きな融資枠を獲得することにも成功しました。
「税金に追われる経営」から「税務戦略を武器にする経営」へ。
キャッシュフローの改善だけでなく、投資家としての成長ステージが一段上がった瞬間でした。
まとめ
3つの事例を振り返ると、キャッシュフロー悪化の要因はそれぞれ異なります。
- 事例① 空室リスク → 早期対応と差別化で改善
- 事例② 修繕リスク → 計画的積立と優先順位付けで安定化
- 事例③ 税負担リスク → 法人化による戦略的な節税で成長加速
共通しているのは、「前兆を見逃さず、早めに打ち手を講じたこと」が改善のカギだった点です。
不動産投資は、ただ物件を増やすだけでは持続しません。
空室・修繕・税金という “三大コスト” をどうマネジメントするかが、キャッシュフローの安定と規模拡大の分かれ道となります。
もし今、あなたの物件で「なんとなく手残りが減ってきた」と感じるサインがあるなら、それは前兆かもしれません。
小さな兆しのうちに行動に移することが、長期安定経営への第一歩です。
あなたがお持ちの大切な物件に目配りしてくださいね。