改善の道は“たった1つの視点”から開ける(第三幕)

― 大家さん応援隊スタッフがAさんに伝えた「本当の改善ルート」 ―

こんにちは、大家さん応援隊スタッフです。
前回では、Aさんのアパート経営に潜んでいた
“課題の正体”を一緒に整理した様子をお伝えしました。

今回はいよいよ、
Aさんがどうやって改善へ踏み出していったのか?
その道筋をご紹介します。

【前回(第二幕)の要点】

前回は、Aさんが抱えていた問題点を一緒にあげていくことでした。
話を重ねるうちに、霧のように曖昧だった不安が、形のある“課題”へと変わっていきました。

・空室や修繕の悩みは、感情ではなく“事実”として整理できること
・問題は「才能ではなく、判断材料の不足」だったこと
・物件の状態を見える形にすると、不安が落ち着いていくこと
・収益性、募集、修繕。この三つに課題が集中していたこと
・課題が見えた途端、Aさんの声に芯が戻り始めたこと

改善に向けた“地図が現れた場面”といえるかもしれません。
そして今回は、その地図を手にどこから歩き始めるのかを一緒に探っていきます。

■ “どこから手をつけたらいいのか分からない”を解決する方法

課題を棚卸しすると、多くの大家さんがこう言います。

結局、何から始めればいいでしょうか?

Aさんもまさにその状態でした。

空室、修繕、管理費用、募集、入居者対応…。
全部大事だけれど、全部を一気にやろうとすると動けなくなります。

そこで私は最初にこうお伝えしました。

「改善の順番は、“収益に直結する部分”からです。」

■ Aさんの改善ポイントはこの3つに絞られた

Aさんの物件の現状を踏まえ、
改善の優先順位を以下の3つに整理しました。

募集力の回復(ここが最大のテコ入れポイント)

まずは「空室を埋める」ことが最優先。

  • 古い写真を撮り直す
  • 日当たりがよく見える時間帯で撮影
  • 図面をプロ仕様に変更
  • 小さなリフォームで“魅せ場”を作る
  • 家賃設定を相場と照合し見直す

Aさんは最初、
「こんな細かいことで変わるんですか?」
と半信半疑でした。

しかし、変更した写真掲載後の問い合わせ数を比較すると、
なんと3倍以上に増えました。

これまでたくさんの大家さんの成功体験から
“魅せ方の工夫で収益性は変わる”
ということを、Aさんは実感することになります。

無駄な修繕費の削減(計画と優先順位を整える)

次に着手したのは「お金の流れの改善」。

  • 緊急性のない修繕を整理
  • 高額修繕は複数見積を取り比較
  • 年間の修繕計画(簡易版)を作成

ここでAさんが驚いたのは、
「本当はやらなくても良かった修繕」がいくつもあったこと。

“修繕費は、管理会社任せだと割高になりがち”
なんです。

Aさんも、まさにその状態でした。

改善後は、
毎月2〜3万円ですがキャッシュフローが改善します。
年間にすると大きな差になります。

管理体制の可視化(信頼の再構築)

改善の最後に行ったのは、
“管理の見える化”です。

  • 物件ごとの月次収支
  • 修繕履歴
  • 募集活動の記録
  • 問い合わせ数の推移

これらを一覧できる簡易シート(クラウド管理※)を作成。

するとAさんはこう言いました。

「今まで“なんとなく”で捉えていた部分が、
数字で分かると急に未来が見えるようになりますね。」

これは、実務では非常に重要な変化です。
数字が見えるだけで、管理会社とのコミュニケーションも変わります。

※クラウド管理にすると、どこでもスマホで確認できます。

■ Aさんの表情が変わった瞬間

改善の方向性を伝えた後、Aさんは静かにこう言いました。

…できそうです。いや、やってみたいです。

この “できるか不安 → やりたいに変わる瞬間” こそ、
大家さんが最も強くなれるタイミングです。

これは、

“長期戦で勝ち続ける大家の思考”

が芽生えた瞬間ともいえます。

■ 小さくても「成功体験」が心を強くする

改善は一度に完璧にしなくて大丈夫。
重要なのは、ひとつ改善すれば目に見える変化が起きる点です。

  • 問い合わせが増えた
  • 募集図面が見やすくなった
  • 無駄な修繕が減った
  • 月次収支が理解できるようになった

たったこれだけで、経営は確実に安定していきます。

Aさんは、この“最初の一歩”を踏み出したことで、
精神的な負担も大きく減りました。

■ 今回のまとめ

改善の道は、“収益に直結する部分”から着手するのが鉄則。

そして、

  • 募集力を整え
  • 修繕の無駄を省き
  • 管理を見える化する

この3つを押さえれば、ほぼすべての築古物件は立ち直ります。

次回は、Aさんが実際にどのような改善を行い、
どんな成果を得たのかをご紹介していきます。

次回では、この改善がどんな成果となって現れたのかをお伝えしていきます。

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