(税務・資金繰りの着地確認)

年末に“数字”を整えると、来年の判断が速くなる

大家さん、不動産投資の皆さま、今年も本当にお疲れさまでした。
日々の入居者対応、修繕判断、募集条件の調整、管理会社とのやり取り…。
賃貸経営は、静かに見えて実は“判断の連続”です。
年末のこのタイミングで、改めて御礼申し上げます。
大家さん応援隊スタッフ一同、心より感謝いたします。

さて、年末までにやっておくと来年がラクになること。
いろいろありますが、最初に着手すべきは「今年の数字の着地確認」です。
空室対策やリフォームの検討より先に、まず数字。
理由は明快で、数字が曖昧なままだと、年明けの意思決定が遅くなるからです。

賃貸経営では、判断が遅れるほどコストが増えます。
広告費が膨らむ、空室期間が伸びる、修繕が後手に回る。
結果として「もっと早くやっておけば…」が増える。
年末の数字整理は、それを防ぐ基礎工事です。

やることは大きく3つです。

一つ目は、今年の収入と支出の“見込み”を固めること
家賃収入は入金ベースで十分です。
空室、滞納、入金の遅れも反映して、実態に寄せて把握します。
支出は、管理費・修繕費・広告費・保険・交通費・通信費など、
主要項目が押さえられていればOK。
完璧を目指すより、年内に一度「全体像」を出すことが価値になります。

二つ目は、計上漏れ・整理漏れの確認です
年内に実施した修繕でも、請求が年明けになるケースは珍しくありません。
領収書が手元に散らばっているケースもよくあります。
ここを放置すると、利益見込みが実態より高く見えて、納税見込みがズレます。
ズレると資金繰りの読みもズレる。経営で怖いのは、“ズレの連鎖”です。

三つ目が、利益と現金の違いを踏まえて「安全余裕」を作ること
賃貸経営は、会計上の利益と手元資金が一致しません。減価償却は費用でも現金は出ていない。
一方、借入返済は現金が出るのに経費ではない。
ここを理解しておかないと、「利益はあるのに現金が薄い」という状態になりやすい。
年末の時点で、来年の固定資産税・保険・更新関連・想定修繕、
そして納税の見込みまで含めて、「最低限残しておきたい現金ライン」を決めておくと、
年明けの判断が驚くほど速くなります。

今スグやること

  • 今年の家賃収入の概算(入金ベース)をメモ:月平均 × 12 でまず置く

  • 今年の大きな支出トップ3(管理費・修繕・広告など)をメモして合計する

  • 「来年の固定資産税+保険+想定修繕+納税」のうち、確実なものだけでも足して“最低残す現金ライン”を1つ決める
    ※完璧を目指さず、“見える化”するだけで勝ったも同然です。

年末の数字整理は、派手さはありません。
ですが、賃貸経営の安定は、だいたいこの“地味な作業”から始まります。