大家さんのための相続税対策入門【第3回】

こんにちは。大家さん応援隊スタッフです。
これまでの連載では、
- 第1回:「なぜ大家さんに相続税対策が必要なのか?」
- 第2回:「そもそも相続税対策は本当に必要なのか?」
という根源的な部分をお伝えしてきました。
第3回となる今回は、いよいよ実践編。
「大家さんがまずやるべき相続税対策の3つの行動」 をご紹介します。
なぜこのテーマを選んだのかというと、相続税対策は「大事なのはわかるけど、何から手をつければいいのかわからない」という声を本当に多く耳にするからです。
今回は、節税のテクニックではなく、大家さんが最初に押さえておくべき基本の行動をシンプルに整理しました。
目次
- 相続税対策は「順番」が大切
- まずやるべき3つの行動
- 資産を“見える化”する
- 家族の意向を確認する
- 納税資金を準備する
- ケース紹介
- 資産を把握していなかったために混乱した事例
- 生前準備が功を奏したスムーズな承継事例
- まとめ:まずは「棚卸し」から始めよう

1. 相続税対策は「順番」が大切
相続税対策というと「節税」「法人化」「贈与」など、専門的な言葉が真っ先に頭に浮かぶかもしれません。
しかし、大家さんがいきなりそうした対策に飛びついてしまうと、かえって複雑になり、思わぬ落とし穴にハマることがあります。
重要なのは 「順番」 です。
最初の一歩を間違えずに踏み出すことが、結果的にもっとも大きな効果を生むのです。
2. まずやるべき3つの行動
ここからは、大家さんが最初に押さえるべき3つの行動を順番にご紹介します。
(1) 資産を“見える化”する
相続税対策の第一歩は、現状を把握することです。
- 現金・預金はいくらあるのか
- 土地・建物の数と評価額はどれくらいか
- 借入残高はどれくらいか
これを「資産一覧」として整理することがスタートです。
多くの大家さんが「頭の中では把握している」と思っていますが、実際に紙に書き出してみると抜けている資産や、思った以上に評価額が大きい不動産に気づくことがあります。
例えば:
- 固定資産税の納付書を見て土地の評価額を確認
- 賃貸アパートの路線価評価を簡易計算
- 借入残高証明を手元に用意
こうした基礎情報を整理するだけでも、将来の相続税額のおおよその見当がつきます。
(2) 家族の意向を確認する
資産の全体像が見えたら、次は「家族の意向」を確認する段階です。
- 誰が不動産を引き継ぎたいのか
- 兄弟姉妹でどう分けたいのか
- 売却して現金化するのか、それとも経営を続けるのか
これを事前に話し合っておくことで、相続が発生した際のトラブルを大幅に減らすことができます。
よくある失敗は「子どもが誰も賃貸経営をやりたくない」ことを知らないまま相続が発生し、結果的に物件が放置されてしまうケースです。
一方で、事前に「長男が引き継ぐ、次男には現金で調整」と合意しておけば、相続後の手続きが格段にスムーズになります。
(3) 納税資金を準備する
最後に重要なのが、納税資金の準備です。
相続税は現金一括払いが基本です。
いくら優良な不動産を持っていても、それ自体では税金を払えません。
準備の方法は大きく3つあります。
- 現金・預金を残しておく
→ 一番シンプル。ただし家賃収入をすべて再投資している大家さんには難しい場合も。 - 生命保険を活用する
→ 相続発生時にまとまった現金が入るため、納税資金確保に有効。非課税枠も活用できる。 - 法人化や借入を活用
→ 法人での承継を準備しておけば、資産をスムーズに移すことができる。
重要なのは「節税」ではなく「支払えるようにしておく」ことです。
3. ケース紹介
ケース1:資産を把握していなかったために混乱した事例
ある大家さんは、都内に2棟のアパートを所有していました。
「だいたい1億円くらいかな」と思っていたものの、実際に評価すると路線価ベースで1億8,000万円。
基礎控除額を大きく超えていたため、相続発生時に7,000万円の課税評価額が残り、大きな税金が発生しました。
結果的に、納税資金を捻出するために1棟を売却せざるを得ませんでした。
ケース2:生前準備が功を奏したスムーズな承継事例
別の大家さんは、早い段階で「資産一覧」をまとめ、税理士と相談していました。
- 資産の見える化
- 長男が物件を承継し、次男には生命保険で現金を残す計画
- 納税資金は生命保険と預金で確保
この準備が功を奏し、相続が発生した際も揉めることなくスムーズに承継できました。
「準備の有無」が結果を大きく分けた好例です。

4. まとめ:まずは「棚卸し」から始めよう
今回の内容を整理すると、大家さんが最初にやるべきことは次の3つです。
- 資産を“見える化”する(現金・不動産・借入を整理)
- 家族の意向を確認する(誰が承継するのかを話し合う)
- 納税資金を準備する(現金・生命保険・法人化など)
この順番で進めることで、相続税対策は「難しい節税」から「現実的な準備」へと変わります。
👉 今日からできる第一歩は、通帳・固定資産税評価証明・借入残高を揃えて「資産一覧」をつくること。
これだけで大きな一歩です。
次回の第4回では、実際に起きやすい「相続トラブル」と、その防ぎ方について詳しくご紹介します。
どんな失敗が多いのか?どうすれば未然に防げるのか?リアルな事例とともにお届けします。
✍️ 相続は「まだ先の話」と思っていても、突然やってきます。早めに準備することで、家族も資産も守れることを忘れないでください。