四ツ谷大家学園 講師 油井  正光

 

《我が家の夏》
何ヶ月ぶりかの帰省だ。星が出ている街を歩いて自宅へ向かう。夏の夜、暑いとはいえ、東京の夜に比べればなんと涼しいことか。
我が家にはエアコンというものがない。
なんと、20年間もである。壊れかけの扇風機
が一台、首を振って活躍している。
朝方は、窓が開いているだけでも寒く、羽毛布団が欠かせないのだ。

《散歩の途中》
そんな快適な日を過ごしながら、ある日妻と一緒に散歩に出かけた。我が家からそう遠くない街中に向けて歩いていると、大きな工事の看板が目にとまった。そこには共同住宅126戸、20階建てマンションと書かれていた。

《年寄りの町》
地方都市は、若者が都会に出かけ、高齢者になって戻ってくる。古寺の門前は年寄りのたまり場で、若者の姿はあまり見かけない。
空き家の住宅も目立つ。アパートもカーテンのない空室が目立つ。
新幹線が、金沢まで開通しこの駅は通過駅となった。ビジネスマンも日帰りが多いらしく事務所も減少している。
そんな中での看板だ。勝算はあるのだろうかと、妻が感嘆して言った。

《工場閉鎖》
翌日、それを裏付けるような話しを聞くことになった。オープンになっていない情報だがとの前置きで、ある大手製造業の工場が、撤退するらしい。3000坪の土地の買い手を探している。当然、従業員は全員解雇。

《賃貸経営の行方》
地方の賃貸経営はいったいどうなっているのだろうか。非常に興味深い。若者が戻ってくる街とはいったいどんな街なのだろう。
年寄りの仲間入りしている自分でも少し心配になる。
もし時間があれば少し調べてみたいと思う。