四ツ谷大家学園 講師 川本 文雄

前回はサブリース契約とはどのような契約なのかをメリット、デメリットを基に見てきましたが、今回はサブリース契約はオーナーにとって是か非かについてお話ししたいと思います。

前回の復習でサブリース契約の最大のメリットは、オーナーは管理におけるリスクを回避出来る上に安定した収入を受けられる点であり、また最大のデメリットは入居者情報が全く入らない上に、管理会社が何時でも家賃の減額を請求できる点にあると考えます。

前回もお話ししたように多くのオーナーは、デメリットのリスクに不安を感じて二の足を踏むのです。
しかしながら本当にハイリスクなのでしょうか?

サブリース契約が安定した収入を得られる理由は、管理会社からの賃料保証にあります。
賃料保証には
1. 空室期間の賃料を保証する空室保証
2. 満室になるまでの期間を保証する満室保証
3. 滞納賃料を保証する滞納保証
4. 一定の期間一定の賃料を保証する最低保証
がありますが、管理会社とサブリース契約を結ぶのであれば、空室保証を取るべきです。

何故なら、当然賃貸経営を営んでいるオーナーであればお分かりかと思いますが、どんなに優秀な賃貸物件でも満室が途切れずに永遠に続くことは有り得ないわけで、入居者が退去した後は一定期間空室が発生します。また時期によっては空室が長引くことも考えられるのです。
増してや新築であれば、満室になるまで相当な期間を要する場合もあるわけです。
その期間管理会社が賃料を保証してくれる空室保証を選ぶのが必然かと思います。
オーナーにとって随時満室時の家賃が入る、こんなに有難い保証をしてくれる契約にもかかわらず、何故リスクを感じるのでしょうか?

現在日本全国に820万戸を超える空き家が存在しています。それなのに我々の周りにはぞくぞくと新築のマンション、アパートが誕生しています。
今後日本の人口は減少傾向にあり、そのような状況の中で物件が増加しているのです。即ち供給過剰に状態にあるわけです。
そこに最大のリスクが潜んでいます。

管理会社とサブリース契約を結び家賃保証による安定した賃貸経営を保証されているつもりが、供給過剰のため入居者が集まらず当初設定した賃料の減額を管理会社から請求されるリスクが発生します。

家賃の減額は当初設定した収支計画を狂わせることになり、債務超過などの経営危機に繋がるのです。